2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧
1、千田有紀は博士論文において有賀喜左衛門(注)の「家」概念について、次のように書いています: ここで重要なことは、やはりこの時点でも家と家族がわけて考えられてはいない点、家が「集団」であると考えられている点である。「有賀の家、同族研究には…
1 千田有紀は東大博士論文の中で次のように書いています(青字部分): 「家族」の原語であるfamilyは、語源的にはラテン語のfamilliaという語から生じているが、・・・(63頁、159頁) しかし川本彰『家族の文化構造』(1978年、講談社現代新書)32頁には…
千田有紀は博士論文において、かつて「家族」に「一」をつけて「一家族」という用法が日常語にもあった、と述べた上でその具体例として次のように書いています(青字部分): まず田山花袋の『生』(1908)のなか[ママ]ある「日の暮れる頃、わアーッわアーッと…
千田有紀は博士論文において次のように書いています(傍線部分): ・戦前の社会学の家族論では、「家」が武士的・儒教的家族制度が〔ママ〕意識されることは決してなかった(千田博士論文107頁)。 ・戦前の社会学の家族論では『家』が武士的・儒教的家族制度…
《本記事の問題意識》 喜多野清一は1951年の論文『同族組織と封建遺制』において「家」と「家族」の理論的な区別の必要性を説きつつも、「家と家族とは現実に分離し難く結合している」(180頁)、「同族組織の構成単位が家として成立するとは言っても、そこ…
千田有紀は博士論文において次のように書いています: ・・・このようななかで、有賀喜左衛門の占める位置を評価するのは難しい。なぜなら確かに戦前、有賀は近代化によって伝統が失われることを嘆き、大家族や同族団体の「結合が弱められつつあるといわれて…
1 千田有紀は博士論文において次のように書いています: 「家族」の民主化が戦後民法によって起こったと考えられていたが、そもそも新民法は、「家」「戸主」といった単語のレベルでの「民主化」がおこっていたにすぎなかった。(125頁) 上記記述と同趣旨の記述は…
千田有紀は博士論文において「戦後は、家族原理そのものが、社会にまで拡大、貫徹すると考えられるように」(注1)なった、と記述し、しかし戦前には家族原理が社会にまで拡大、貫徹すると考えられてはいなかった、との趣旨を述べています。この趣旨を裏付け…
《本記事の問題意識》 東京帝国大学教授で家族社会学者の戸田貞三は、「戸籍上の『家』は種々の点において事実上の家族とは著しく異なる人々を含む場合が多い。したがって戸籍上の記述によって事実上家族生活をなしている者を尋ね出すことはできない。」との…
千田有紀は博士論文の中で戸田貞三の家族学説について次のように書いています(青字部分): 【千田の記述】 子に対する愛情があわられて育児の機能となるがごとく、親に対する愛着追慕の感情があらわれて祖先崇拝の行事となるものと考えられる。(注1) し…
《忙しい人はここだけ読んでください⇒》千田有紀は博士論文81頁において、戸田貞三の『家族構成』(1937年版の1970年復刻版)116頁の原文の「家族」の文言を「家庭」に書き換えて「脚注」までつけたうえ、書き換え後の「家庭」の文言にあたかも特別な学術的…
《本記事の問題意識》戸田貞三は戦前、著書の中で日本の家族と欧米の家族との相違点について、複数、記述していた。ところが千田有紀は博士論文17頁において、戦前の戸田貞三に関して「戸田は・・・、日本の家族を欧米の家族と相反するものとはとらえなかっ…