松浦総合研究所

奇妙な記述てんこ盛りの東大博士論文を執筆した人は奇妙だし、その奇妙な東大博士論文を審査し合格させた審査委員主査の東大教員も奇妙だし、その奇妙な東大博士論文を放置し続けている東大も、これまた奇妙。世の中奇妙なことだらけ。松浦晋二郎。東京大学文学部社会学科卒業。同志社大学法科大学院卒業。法務博士号取得。行政書士試験合格。連絡先:ivishfk31@gmail.com

日本の女が戦争で日本の男に守ってもらわないほうが、敵のもっと「いい男」と出会えるかもしれない。 東京大学名誉教授 上野千鶴子

日本の女が戦争で日本の男に守ってもらわないほうが、敵のもっと「いい男」と出会えるかもしれない。

東京大学名誉教授、現・立命館大学教授 上野千鶴子

 

 人類が暮らしを営むには、水と火が不可欠だが、女の役目はいつもこの火と水の管理だった。水道もガスもない前近代的な暮らしの中では、朝起きて最初の仕事は、家族のために水を確保するという仕事だった。・・・(途中省略)・・・重労働である。
 この平時の重労働を担ってきたのは、いつも女たちだった。水汲み女の図は見たことがあるが、水汲み男、というのは聞いたことがない。この重労働を、女に代わって男がやろうと申し出た社会は、どうやら歴史上なさそうなのである。「かよわい女をたくましい男が守ってきた」という学生に、私はこう答えることにしている――現実には、強い男が弱い女をいたわってきた例より、強い男が弱い女につけこんできた歴史の方が長いんだよ、と。そのうえ、女は実のところ、かよわくも何ともなくて、重労働に十分耐える生き物でもあるのだ。
 最後に、平時の男たちの怠惰は、いざ戦時に男たちが身を挺して女子供を守る働きによって免責してもらえるだろう、という考えがある。ところでちょっと待てよ、男たちはいったい何から女たちを守ることになるんだろうか。考えてみると、これもバカバカしいことがわかる。男たちは他の男たちと争いを起こして、自分の女たちを守っているだけである。「守られて」みなければ、敵のほうがもっと「いい男」かもしれないのだ。
 ここまでからくりがわかれば、「男は仕事・女は家庭」の性別役割分担が、いったい誰の役に立っているか、よオーく考えなくても、すぐにわかるというものだが、ジョーシキという名の思いこみに囚われている、女の子たちのアタマの中を変えるのも、なかなか苦労ではある。

上野千鶴子著『女遊び』、121―122ページ)

 

 

【松浦コメント】

・敵のもっと「いい男」と出会える可能性もあるけれど、ブチ殺される可能性もきわめて高いです。

・上野は「男たちは他の男たちと争いを起こして、自分の女たちを守っているだけである。」と言うけれども、少なくとも2022年2月24日に開始されたロシアのウクライナ軍事侵攻を見ると、ウクライナは一方的に突然ロシアに侵攻されたのであって、ウクライナの男たちがロシアの男たちに対して「争いを起こして」ロシアに戦争を仕掛けたわけではない。(2022/7/31)